日本消化器内視鏡学会雑誌
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十二指腸重複症の1例―その内視鏡的所見を中心に―
今井 希一北守 茂柴田 好原田 一道水島 和雄並木 正義諸岡 忠夫井上 千秋太黒 崇
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1982 年 24 巻 7 号 p. 1109-1117

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抄録
 心窩部痛を主訴として来院した30歳女性に胃X線検査を行ったところ,十二指腸下行脚に表面平滑な腫瘤の所見を得,内視鏡検査でvater乳頭前壁寄りに接して表面平滑なbridging foldを有する腫瘤を認めた.生検鉗子で腫瘤を圧迫すると嚢胞様の感触が得られた.超音波検査でも嚢胞を思わす所見を示した.逆行性膵胆管造影では膵管,胆管に異常所見なく,胆管や膵管との交通もみられず,先天性胆道拡張症や膵嚢胞は否定できた.以上より十二指腸重複症を考え手術を行ったところ,やはり同部に嚢胞が認められ,乳白色の混濁した内容液を得た.嚢胞壁の組織学的検査では嚢胞内面は十二指腸粘膜でおおわれ,筋層を伴ない十二指腸内腔側と筋層を共有していた.この所見から十二指腸重複症と診断した.本症につき本邦例を調べてみると,これまで17例の報告しか見当らない.今回のわれわれの症例を含めて18例をまとめ文献的考察を加え報告した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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