日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃梅毒の1例
加納 知之伊藤 克昭小林 世美春日井 達造
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1983 年 25 巻 10 号 p. 1513-1516_1

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抄録

 胃梅毒は比較的稀な疾患であり,X線及び内視鏡所見が悪性疾患と類似しているため手術に至った例もある.しかし内科的治療により完治し得る疾患であるため適確な診断を下すことが重要である.私共は上腹部痛を主訴として来院し,内科的治療により完治した胃梅毒の1例を経験した. 症例は29歳男性で上腹部痛を主訴として来院.前医より悪性リンパ腫として手術を勧められていた.当院においても2回の内視鏡検査で,胃癌あるいは悪性リンパ腫を疑った.手術前の諸検査の一つとして行ったTPHAスクリーニングテストが陽性と判明し,詳細に病歴をとりなおしたところ胃梅毒が強く疑われた.直ちにペニシリン製剤により治療を開始したところすみやかに自覚症状は消失し,内視鏡所見も改善した. 胃梅毒診断の要点を自験例の検討と文献的考察にもとついてまとめ,報告した.

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