日本消化器内視鏡学会雑誌
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特異な形態と組織像を呈した胃癌の1例―診断を中心に―
荒木 京二郎岡島 邦雄大柴 三郎岩越 一彦
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1983 年 25 巻 10 号 p. 1517-1522_1

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抄録
 ほとんど異型を示さない腺管が胃粘膜から陥没するように漿膜下層まで増殖した特異な組織像を示す胃癌の1例を報告し,とくに診断上の問題点を検討した. 症例は50歳の男性で,2回の胃X線検査,5回の胃内視鏡検査で胃癌(肉眼型3型),悪性リンパ腫,反応性リンパ増生などが疑われたが,3回(計19カ所)の生検ではGroupI またはII で,上記の病変を疑える所見は得られなかった.胃切除によって胃体下部前壁に皺襞集中と先太りを伴なう低い周堤と浅い陥凹を示す腫瘤(4.5×4.0cm)が得られた.腫瘤の表面は滑らかで正常粘膜の色調を呈し,苔の付着を認めなかった.組織学的に漿膜下層浸潤とリンパ管侵襲が証明されたため,高分化型管状腺癌〔Tub1, Intermed., INFβ, ssβ, ly1, v0, n0,ow(-), aw(-)〕と診断された
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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