抄録
胃癌症例の手術適応決定における腹腔鏡検査の有用性について検討した.胃癌9症例を対象とし,胃癌取扱い規約に従って手術時所見と腹腔鏡所見を記載し,両者を比較したところ,腹腔鏡検査では,(1)胃癌症例における所属リンパ節転移の観察は不可能であるが,(2)漿膜面浸潤,腹膜播種および肝転移の観察においては手術時所見とよく一致していた.さらに,(3)拡大腹腔鏡検査により,腹膜に直径約1mmの微細癌転移巣も観察可能であったことから,腹腔鏡検査が開腹時所見よりも正確に胃癌の進展度を把握できた症例もあった.したがって,遠隔転移が明らかでなく,体表面からの腹腔穿刺により癌性腹水を証明し得ず,イメージ診断でも明らかな他臓器への転移を証明し得ない進行癌症例に対する根治手術適応の決定には腹腔鏡検査が最も威力を発揮するものと考えられた.