日本消化器内視鏡学会雑誌
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Campylobacter腸炎の内視鏡的検討
菊池 純江柴田 泉菱沼 義興町井 彰村上 義次相楽 裕子松原 義雄進藤 仁
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1983 年 25 巻 2 号 p. 236-244_1

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抄録
 急性感染性腸炎の中で,Campylobacter腸炎の占める頻度は次第に高くなっている.われわれは,小児5例,成人6例のCampylobacter腸炎を内視鏡的に観察した.また,同時に生検組織像,走査電顕像も併せて検討した.内視鏡的には,概して小児に強い炎症像を認めた.また,小児では回腸まで炎症を認めた.一般的な炎症像は,軽症例では,浮腫に伴なう粘膜表面の光沢,軽微な発赤が主たる所見であり,比較的重症例では,粘膜の粗造,毛細血管の怒張,その末梢からの浸出するような出血,びらん,粘液の付着,および暗赤色の発赤などであった.内視鏡的に鑑別し難い疾患は,細菌性赤痢,潰瘍性大腸炎で,特にその急性期では三者の鑑別は極めて困難であった.組織像では6例にcrypt abscessを認め,これは他の疾患に比し高い検出率であった.走査電顕像では,特に微絨毛の変化が明瞭であったが,疾患特異性は見出せなかった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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