日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
急性十二指腸潰瘍の臨床的・内視鏡的特徴
斉藤 光則房本 英之佐々木 裕福田 益樹笠原 彰紀目連 晴哉林 紀夫川野 淳佐藤 信紘鎌田 武信阿部 裕
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 25 巻 3 号 p. 382-391

詳細
抄録

 種々の重篤な疾患患者にみられた急性十二指腸潰瘍62例の臨床的特徴を検討するため,慢性十二指腸潰瘍94例と比較した・急性十二指腸潰瘍では51例(82 .3%)が消化管出血を初発症状とし,しかも30例は2 ,000ml以上の大量輸血を要する大量出血例で,止血困難な例が多く著しく予後不良であった.一方慢性十二指腸潰瘍は腹痛を主訴とする例が多く,消化管出血が確認できたのは12例(12 .8%)で,一例に手術を施行したにすぎなかった.内視鏡的には急性十二指腸潰瘍は多発性で不整形潰瘍が多く,18例(19.8%)が球後部に発生し,慢性十二指腸潰瘍の1例(1.1%)と比べ球後部潰瘍の発生頻度が高率であるのが特徴的であった.また,急性十二指腸潰瘍では食道炎・食道潰瘍,出血性胃ビラン・胃潰瘍など他の上部消化管にも急性病変が多発してみられ,十二指腸潰瘍のみは26例(41.9%)にすぎなかった.

著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top