日本消化器内視鏡学会雑誌
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経皮経肝的胆管内視鏡検査および生検の有用性について
吉田 友彦福田 定男岩崎 至利児島 辰也星 治山川 隆斉藤 利彦芦沢 真六
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1983 年 25 巻 3 号 p. 392-399

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抄録

 〈経皮経肝的胆管内視鏡検査(PTCS)および生検(PTCB)の有用性について〉 閉塞性黄疸症例の診断上,閉塞部胆管の内視鏡所見および病理組織学的所見が極めて有意義な情報になるとの考えに基き,経皮経肝的胆管ドレナージ(PTCD)により形成される外胆汁瘻孔を利用して,PTCSとPTCBをそれぞれ23症例に試みた.癌症例の閉塞部胆管内視鏡像としては,潰瘍形成・隆起・凹凸不整・発赤・出血・褪色等が得られているが,現時点では症例数も少なく,これらの所見が癌に特徴的であるとは断じ難い.またPTCBでは胆汁細胞診に比し,はるかに高い癌陽性率が得られたが,症例によっては,細胞診が有力なこともあり,両者を併せて行うことが肝要との結論を得た.今後,PTCS像と各種の画像診断法による所見との対比はもとより,生検所見・摘出標本肉眼所見・病理組織学的所見との詳細な対比を重ねること,また機種および手技にも改良を加えること等により,PTCS・PTCBは共に極めて有用で,安全且つ確実な胆道精査法になると考える.

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