日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的ポリペクトミーにより発見された大腸早期癌症例の検討
沢口 潔磨伊 正義秋本 龍一荻野 知己上田 博北川 一雄高橋 豊北村 徳治中西 功夫
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1983 年 25 巻 3 号 p. 400-407_1

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抄録

 過去6年7カ月間に,本院にて行なわれた大腸内視鏡的ポリペクトミーは,58症例86病変であった.これらのポリペクトミーにより得られたadenoma78病変を武藤のGrade分類を用い,病理組織学的検討を加えた.78病変のadenomaの内,11病変にGrade4を,2病変に早期浸潤癌を認めた。大きさと組織分類では,5mm以下のすべてが良性であり,6~10mmの34病変の内1病変のみが腺腫内癌であったのに対し,10mm以上の19病変の内12病変(63.2%)は癌を共なうadenomaであった.このことより10mm以上のadenomaは悪性化しやすいと考えられる.肉眼形態と組織異型度では,形態による大差を見ないが,浸潤癌2例は共に表面ビランを有した平担隆起型に見られた.部位分布では,腺腫内癌の多くは,S字状結腸,直腸に見られ,この部のadenomaは右結腸にくらべ高いmalignant potentialを有すると考えられるが結論として,大きさのいかんにかかわらずすべてのポリープは,ポリペクトミーの適応とされるべきである

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