日本消化器内視鏡学会雑誌
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術後ストレス潰瘍の治療及び予防に関する臨床的検討― 硬変合併肝癌手術例を中心に―
柏谷 充克岡本 英三桑田 圭司飛田 忠之京 明雄朱 明義田中 信孝岡空 達夫山中 若樹
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1983 年 25 巻 3 号 p. 408-412

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抄録

 術後ストレス潰瘍に対するcimetidineの治療効果,及びcimetidine,迷走神経切断術の予防効果を検討し以下の結果を得た. 1) cimetidine治療群では33例中19例(58%),一方制酸剤を主とした従来の治療群では28例中8例(29%)に有効止血例を認めた.止血率はcimetidine治療により有意に向上したと言えるが,死亡率については有意差を認めなかった.特に,発症頻度の高かった硬変合併肝癌術後症例においてcimetidineの治療成績は不良であった. 2) 硬変合併肝癌手術例を対象に術後ストレス潰瘍の予防について検討した.術前胃液検査で高酸であった症例に対して,術直後から予防的cimetidine投与,及び術中迷切術付加を行なった.これら予防的処置を施行した症例では術後ストレス潰瘍の発生を認めず,有効な手段であると考えられた.

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