日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸fiberscopeの硬さに関する検討第2報硬度可変式大腸fiberscope (CF-VS)の臨床評価
多田 正大陶山 芳一田中 義憲西谷 定一渡辺 能行川本 一祚梶原 譲傍島 淳子川井 啓市
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1983 年 25 巻 3 号 p. 413-420

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抄録

 大腸fiberscopeを挿入するにあたって,手技的に難しい点はS状結腸に大きなループを形成しないようにしながらスコープの挿入を図る点である.そこで硬度可変式大腸fiberscope(CF-VS)を試作し臨床に用いた.CF-VSは先端40cmより手元操作部側の硬度を,グリップ操作によって任意に変換して硬くすることができるよう開発した器種である.75例の深部挿入に用いた結果,92%はスコープの硬度を変換するまでもなく盲腸までの挿入に成功した.8%はスコープを硬くすることによって,slidingtube等の補助用具を用いることなく,S状結腸を直線化してループを形成することなく挿入することができた.盲腸までの挿入所要時間は平均12.2分間であり,同時期のCF-IBによる成績とほぼ同等であった. CF-VSは補助用具を用いることなく,確実に深部大腸への挿入が行えるという点で優れており,大腸fiberscopeの開発の歴史の中にあって,ユニークな器種であると評価できる.本器種をべースにして,さらに改良を加え, より優れた大腸fiberscopeが開発されることが期待される.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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