日本消化器内視鏡学会雑誌
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十二指腸脂肪腫の2例
藤巻 英二狩野 敦武藤 純一小豆島 正和松谷 富美夫折居 正之鈴木 誠治菅井 俊加藤 浩平
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1984 年 26 巻 10 号 p. 1731-1737_1

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抄録
 十二指腸の脂肪腫は稀である.本例の2例を経験した.症例1は78歳,男性で,上腹部痛を主訴とし,X線にて十二指腸第3部に円型の陰影欠損を認め,内視鏡にて粘膜下腫瘍と診断するも,慢性腎不全による腎機能障害が悪化し死亡した.剖検にて十二指腸第3部に2.0×1.4×1.4cmの表面平滑な有茎性腫瘍を認め,割面は黄色を呈し,組織学的には脂肪腫であった.症例2は36歳,男性で,上腹部不快感を主訴とし,近医にてX線上,十二指腸に異常陰影を指摘され,当科に紹介された.X線および内視鏡にて十二指腸第3部に粘膜下性の棍棒状腫瘤を確認し,開腹にて腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は1.2×1.2×2.8cmの大きさで,棍棒状を呈し亜有茎性であった.組織学的には脂肪腫であった.本邦の十二指腸脂肪腫は,今回の著者らの2例を含め27例の報告があり,それらについて,若干の文献的考察を加えた.本腫瘍は内視鏡的に黄色調を呈することから,内視鏡診断がある程度可能であった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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