日本消化器内視鏡学会雑誌
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術前診断が困難であった11歳女児の肝前性門脈狭窄症の1例
斉藤 裕輔長谷部 千登美佐藤 仁志原田 一道高橋 篤矢崎 康幸関谷 千尋並木 正義浅川 全一水戸 廸郎原田 一民
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1984 年 26 巻 10 号 p. 1746-1751_1

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抄録

 小児門脈圧亢進症の発見頻度が少しずつ高まりつつあるが,その詳細な病態の把握はなかなか容易ではない.今回われわれは種々検索したが,術前に診断し得なかった肝前性門脈狭窄症の女児例を経験したので考察を加えた.症例は,11歳女児で吐血を主訴に入院した.著明な貧血と巨大な脾腫,汎血球減少,便潜血を認めたが,肝機能検査や他の血清学的検査で異常はみられなかった.胃食道内視鏡検査ではR-Csign,随伴性食道炎を伴う食道静脈瘤が認められた.腹腔鏡検査,肝生検では肝はほぼ正常であったが,CT,ERCP,血管造影,逆行性門脈造影にても門脈の閉塞所見はみとめられず,初期のIPHを疑って手術を行った.ところが術中の門脈造影にて門脈の肝門部での平滑な狭窄と左門脈枝の閉塞がみられ,肝前性門脈狭窄症であることがわかった.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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