抄録
1980年4月より1983年12月までに,オリンパス・アロカ社試作超音波内視鏡1号機,2号機,3号機(GF-UM1)を使用し,消化管病変88例,膵・胆道病変82例を含む計118例に内視鏡的超音波断層法(Endoscopicultrasonography, EUS)による病変観察を行った.消化管病変では,壁構造の観察をもとに癌浸潤の診断,及び転移リンパ節の描出を試み,また内視鏡的レーザー治療の照射深度判定に関しても興味ある成績が得られた.消化管粘膜下腫瘍では,その全例で明瞭な腫瘍像が観察され,その発生母地の指摘も可能であった.次に,膵・胆道病変観察においては,通常超音波断層法(US)では観察不能な20mm以下の小膵癌も明瞭に観察され,膵頭部領域小胆管癌観察でも明瞭な腫瘍像が観察された.EUSは腹壁,腸管ガスの障害を避け,対象臓器に近接した体腔内超音波断層法であり,消化器疾患診断法として新しい分野を開く検査法と考えられた.