日本消化器内視鏡学会雑誌
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いわゆる隆起型胃潰瘍瘢痕の1症例
本田 豊彦大西 良男勝島 慎二徳田 康孝
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1984 年 26 巻 2 号 p. 243-246_1

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抄録
 胃潰瘍は一般に陥凹性病変であり,潰瘍瘢痕が隆起を呈することは稀である.今回われわれは,胃幽門前庭部の対称性潰瘍の治ゆ過程において,一過性にその潰瘍瘢痕が隆起を示した症例を経験したので報告した. 症例は27歳の男性で,主訴は心窩部痛であった.初回の胃内視鏡検査では,胃幽門前庭部の前後壁に,対称性に潰瘍を認めた.約1カ月後の胃内視鏡検査では,前回認められた白苔は消失し,その部位に著明な粘膜ひだの集中を伴う隆起性病変が認められた.そして,約4カ月後の胃内視鏡検査時には,隆起性病変は消失し,通常の赤色瘢痕が認められた. 隆起性病変の部位からの生検所見では,悪性所見はなく,腺上皮の増殖と,間質の浮腫及び細胞浸潤が認められた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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