日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃空腸吻合術後35年で発生したIIc型早期胃癌の1例
乾 和郎中江 良之加納 潤一佐藤 太一郎加藤 岳人金井 道夫二村 雄次
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1984 年 26 巻 2 号 p. 255-260_1

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抄録
 胃腸吻合術後に発生した胃癌は,本邦では12例を数えるのみであり,さらに早期癌症例は3例と極めて稀である.最近,胃空腸吻合術後35年で発生したIIc型早期胃癌を経験したので,ここに報告した. 症例は47歳男性で,12歳時幽門狭窄にて胃空腸吻合術を受けている.34歳頃より十二指腸潰瘍あるいは胃潰瘍の再発を再三再四繰り返した.当院では1975年より入院あるいは通院加療し,その間症状の有無にかかわらず,定期的な胃X線検査および胃内視鏡検査を施行していたが,1982年6月胃内視鏡検査にてIIc+III 型早期胃癌と診断し,同8月根治的胃切除術を施行し,IIc型早期胃癌と診断した. 胃腸吻合術後胃癌は,残胃癌とは若干異なる点も存在するが,外科的手術が加わったこと,胃腸吻合が存在することにより十二指腸液の胃内への逆流がみられることなど共通点も多い,そこで両者を比較検討し,若干の文献的考察を加えて報告した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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