日本消化器内視鏡学会雑誌
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膠原病及びその類似疾患に対するステロイド,非ステロイド系抗炎症剤の長期投与中に見られた胃潰瘍について
粒良 邦彦星原 芳雄森藤 忠夫吉田 健三宮本 昭正
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1984 年 26 巻 3 号 p. 397-407

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抄録

 ステロイド胃潰瘍,薬剤性胃潰瘍,膠原病に合併する胃潰瘍については,それぞれ数多くの研究があるが,ステロイドを含む抗炎症剤の投与中に見られる胃潰瘍の存在部位については諸説あり,その胃潰瘍と腺境界の関係については未だ明らかでない.また,ステロイドと併用されている他の抗炎症剤の影響ではないか,との疑義も解明されていない. われわれは,膠原病及びその類似疾患に対して,ステロイド剤または非ステロイド系抗炎症剤を投与中に内視鏡で確認された上部消化管潰瘍56例を,通常の上部消化管潰瘍516例と比較して以下の知見を得た.(1)ステロイド単独投与群,非ステロイド系抗炎症剤単独投与群,両者併用群の三群共に幽門前部(前庭部幽門側)に潰瘍を有する例が著しく多い.(それぞれ85.7%,72.7%,86.8%)(2)抗炎症剤投与中幽門前部に認められた胃潰瘍は,内視鏡的コンゴーレッド法で認められた酸分泌境界から十分に離れている.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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