抄録
糖尿病患者における消化性潰瘍の合併について,従来非糖尿病患者のそれと比較して低いとする意見と,逆に高いとするものがあり一定の見解が得られていない.そこでコントロール目的で入院した糖尿病患者300名をat randomに選出して,同時期の一般入院非糖尿病患者300名と年齢・性比を一致させたmatched control studyを行った.その結果糖尿病患者の消化性潰瘍合併率は5%で非糖尿病患者のそれと比較して差を認めなかった.また,治療法との関係においては経口糖尿病剤およびインスリン治療群に消化性潰瘍の合併が多い傾向を示し,特にneuropathyを合併したものに明らかに消化性潰瘍の合併が高かった.