日本消化器内視鏡学会雑誌
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摘脾20年後に巨大副脾を認めた門脈圧亢進症の1例
高橋 希人佐藤 仁志柴田 好武藤 英二武田 章三熱田 友義山田 隆林 美栄原田 一道上田 則行
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1984 年 26 巻 6 号 p. 893-899_1

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抄録
 最近われわれは,摘脾20年後に巨大副脾を認めた門脈圧亢進症の1例を経験した.症例は42歳男,吐血を主訴として当院に緊急入院した.既往で,20年前に摘脾を受けている.入院後緊急内視鏡検査で食道胃静脈瘤を認めたが,出血は胃体上部の潰瘍からであった.また,入院時の検査所見から,肝硬変と診断された.肝硬変の精査,および肝癌の有無を確認するためCTスキャンを施行したところ,左季助部背側よりに直径6cmの腫瘤を思わす所見を認めた.そこで,99mTcフチン酸による肝脾シンチ,超音波,腹腔動脈造影などを行った結果,その異常腫瘤は巨大化した副脾と診断した.そして手術により組織学的にもそれを確認した.この副脾はこれまでの報告例中最大のものであった.なお,摘脾後残存副脾の診断には画像診断が有用であり,さらに摘脾術の際には術前または術中に副脾の検索が必要であるとの教訓を得た.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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