日本消化器内視鏡学会雑誌
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26 巻, 6 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 渡辺 誠, 芦沢 信雄, 雫 稔弘, 山下 秀治, 足立 経一, 植木 和則, 岡田 正史, 松浦 達也, 応儀 一良, 西村 公一, 池田 ...
    1984 年 26 巻 6 号 p. 807-815
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     膵の形態学的検査手技の開発の目的で,腹腔鏡下に膵の観察を行うとともに腹腔鏡下膵生検の安全性について検討を加えた.ラット,イヌによる基礎的検討で膵生検の安全性を支持する成績を得,引き続き臨床的検討を行った.その結果,既成の針付生検鉗子による腹腔鏡下膵生検で直径6mmの膵組織が得られた1例に生検後一過性に血中膵酵素の上昇をみたことから,さらに小さい膵組織を採取するような生検鉗子を試作した.この生検鉗子で得られる膵組織は最大3×2mm(Model I)および3×3mm(Model II)である.本生検鉗子を用いた注意深い生検では現在までになんら合併症を認めていない.したがって,このような膵生検鉗子の開発は今後の膵の形態学的検査法の発展に極めて有用なものと考えられた.
  • 佐藤 正伸, 狩野 敦, 長沢 茂, 折居 正之, 神谷 亮一, 永塚 健, 斉藤 裕, 加藤 博巳, 海藤 勇
    1984 年 26 巻 6 号 p. 816-827
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     histamine H2 receptor拮抗剤であるシメチジン,ラニチジン,YM-11170を投与した胃潰瘍の治癒過程を従来の抗潰瘍剤投与例を対照として内視鏡的,組織学的に対比検討した.histamine H2 receptor拮抗剤投与例では,従来の抗潰瘍剤投与例に比し,内視鏡的には潰瘍の縮小形態が不均一なことが多く,治癒期において潰瘍底の菲薄化,底の凹凸が高頻度にみられ,潰瘍周辺の発赤は不規則で弱いものが多く,発赤の所見は瘢痕部においても同様であった.また,潰瘍周辺の隆起も高頻度に認められた.組織学的には,単層の再生上皮,ふさ状の再生上皮及び偽幽門腺には,両群に差を認めなかったが,histamine H2 receptor拮抗剤投与例では,不偏細胞の出現が早く,頻度も多く出現する傾向にあり,腸上皮化生が著明であり,間質の浮腫を認める頻度が高かった.これらの所見は,個々のhistamine H2 receptor拮抗剤の種類による特徴的変化ではなく,histamine H2 receptor拮抗剤投与例での胃粘膜の再生が旺盛なための共通した変化と考えられた.
  • 多田 正弘, 村田 誠, 水町 宗治, 嶋田 正勝, 有馬 功三良, 岡 紳爾, 柳井 秀雄, 村上 不二夫, 相部 剛, 岡崎 幸紀, 竹 ...
    1984 年 26 巻 6 号 p. 828-832_1
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     巨大すう襞症の生検組織学的研究の現状をみると,現在の生検鉗子が不十分であることにより,正確な判断がされていない.そこで,われわれは,内視鏡的に巨大すう襞症と診断した7症例にOttenjanの方法に準じたSnare biopsyを施行し,12~43mmの大きさの生検組織を採取した.全例において,粘膜下組織までの深さの標本が得られていた.生検組織学的に,巨大すう襞症の成因は,1例に単純性肥厚はみられたが,他の症例においては,粘膜の肥厚はみられず,粘膜下層の腫大が,その成因と考えられた.Snare biopsyにより採取した生検組織は,挫滅も少く,生検施行時の疼痛,出血などの副作用もみられなかった.また,生検による潰瘍も7日~2週間にて完全に消失した.
  • 多田 正弘, 村田 誠, 村上 不二夫, 嶋田 正勝, 水町 宗治, 有馬 功三良, 柳井 秀雄, 岡 紳爾, 重枝 正樹, 荻野 昌昭, ...
    1984 年 26 巻 6 号 p. 833-839
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     従来の鉗子生検の大きさ,深さに対する不充分さを補うため,strip-off biopsyを開発した. このstrip-off biopsyとは,粘膜下に注射用生理食塩水を3~5cc注入し,山田II ~III 型に相当する隆起を形成したのち,snareを装着し,高周波電流にて切除する方法である.この方法で,平坦もしくは陥凹性病変を広汎に生検することが,可能である.また,この方法には,異型上皮巣(A.T.P.)の完全な切除,胃癌の浸達度診断,RLHなどの粘膜下を主体とする病変の診断に有用であった.なお,この方式による生検によって疼痛,出血などの副作用はみられず,生検によって生ずる潰瘍も1~2weeksの経過をもって治癒を認めた.
  • 渋谷 大助, 浅木 茂, 岩井 修一, 西村 敏明, 佐藤 彰, 榛沢 清昭, 金沢 徳昭, 宍戸 洋, 佐藤 勝久, 大原 秀一, 畑山 ...
    1984 年 26 巻 6 号 p. 840-847
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     1979年6月から1983年1月までに,吐血または下血によって当科で施行された緊急内視鏡検査166例のうち,胃管を留置していた例は18例あり,そのうち留置胃管により発生したと思われる潰瘍性病変の8症例12病変について検討した.食道びらんは全例に認められ,噴門部潰瘍が2例,胃大彎側潰瘍が2例あった.胃管接触部に一致し,胃管に沿った縦長の病変が特徴であった.そのうち出血源となったのは4例で,あとの4例は他病変からの出血に合併したものであった.これらの潰瘍性病変は外科手術例,特に泌尿器科系の術後例に多く,長期臥床,腎不全,低蛋白血症,腸管麻痺,凝固障害などが危険因子として重要であった.危険因子を有する患者には胃管の留置を慎重に行うべきと考える.
  • ―挿入手技の変法を中心に―
    嶋倉 勝秀, 上野 一也, 白井 忠, 山口 孝太郎, 和田 秀一, 仲間 秀典, 赤松 泰次, 松田 至晃, 中村 喜行, 古田 精市
    1984 年 26 巻 6 号 p. 848-857_1
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     悪性疾患による胆道狭窄症例40例を対象としてERCPを行い,32例(80%)がERBDの適応と考えられた.NBDを施行した1例を除く31例にERBDを試み25例(80.6%)に成功した.この中には造影上胆管の完全閉塞を示す胆道癌4例,左右肝内胆管に2本のLBTを挿入した肝門部癌の1例,憩室内乳頭で通常のEPTが不能で,口側隆起にポリペクトミー用スネアーを用いて瘻孔形成後EPTを行いチューブを挿入した1例,EPT不能で,内瘻化したPTCDチューブをガイドとして内視鏡的にガイドワイヤーを挿入し,チューブの挿入に成功した膵頭部癌の1例が含まれている.ERBDの成否を決める最も重要な因子はEPTの成否であると考えられ,通常のEPT不能例ではprecuttingも有効であった.またPTCD後の症例ではPTCDの内瘻化チューブを利用しERBDを成功させることも可能であった.胆管の完全閉塞例はERBDの適応外と考える者もあるが,本質的には狭窄像と変わらず,慎重に行えばERBD可能と考えられた.
  • 隅岡 正昭, 春間 賢, 隅井 浩治, ハミド タヒール, 熊本 隆, 清水 秀明, 上村 直実, 田利 晶, 讃岐 英子, 松本 勇次, ...
    1984 年 26 巻 6 号 p. 858-864_1
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     家族性大腸腺腫症(Familial adenomatosis coli: FAC)は胃に高頻度に異型上皮巣を合併することが知られている.その異型上皮巣の発生母地である背景胃粘膜について,われわれの経験した11例のFAC,本症以外の異型上皮巣症例(異型上皮巣症例)およびそれぞれの年齢に対応した正常者(対照)との間で比較検討した.背景胃粘膜の検索として,胃液検査(Basal acid output: BAO, Maximum acid output: MAO),血清ガストリン値測定,胃粘膜の組織学的検索を行った.FACではBAO 2.595±1.845mEq/hr, MAO 13.309±3.857mEq/hr,血清ガストリン値92.7±17.3pg/mlといずれも対照との間に差を認めなかった.組織学的検索ではFACの胃粘膜の萎縮性変化は対照に比し軽度か同程度であった.腸上皮化生の程度も対照との間に差を認めなかった.一方異型上皮巣症例ではBAO 0 .412±0.118mEq/hr, MAO 1.561±1.075mEq/hrと対照に比し有意に低下し,血清ガストリン値も対照より高値であった.異型上皮巣症例の胃粘膜の萎縮性変化および腸上皮化生の程度は対照に比し有意に高度であった.以上よりFACにおける胃の異型上皮巣の発生母地は,一般の異型上皮巣の発生母地と異なることが示唆された.
  • 関田 恒二郎, 尾仲 章男, 中村 靖, 小花 光夫, 藤森 一平, 花田 徹野, 福田 純也
    1984 年 26 巻 6 号 p. 865-875
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃結核症は稀で,診断の困難な疾患であり,報告例の多くは胃癌または胃潰瘍の診断のもとに胃切除術が行なわれ,術後に病理学的検索から胃結核症と診断されてきた.著者らは他臓器には結核病変が認められない患者の胃に,潰瘍を認め,直視下生検により,病理組織学的にラングハンス巨細胞を含む類上皮細胞結節を認めたため,弧立性の胃結核症と診断し得た症例を経験した.抗結核剤投与による内科的治療を行ない,内視鏡的に治療開始2カ月後には,潰瘍の改善を認め,7カ月後には潰瘍は癈痕化した.調べ得た範囲では組織学的に胃結核症として診断の確かなものは本邦では129例を数えるに過ぎない.また開腹せず内視鏡検査により本症と診断し得た例は1975年の第1例以来15例であり,このうち抗結核薬のみで保存的に治療したものは9例に過ぎない.本症の内視鏡的所見について検討し,直視下生検の重要性と抗結核剤の効果について報告する.
  • 伊東 進, 林 紀美子, 井上 修志, 溝渕 猛, 山井 昭, 松村 光博, 岸 清一郎
    1984 年 26 巻 6 号 p. 876-883
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     2cmの狭窄部を有する再発性食道吻合部狭窄例に,新しい食道拡張術を試みた.高周波による内視鏡的食道切開を行い,1週後にバルーンカテーテル(William Cook社製)を留置した.食事時および睡眠時にはバルーンを縮小させ,食後3~4時間,バルーンに水を加圧注入し間欠的に食道拡張を行った.このような方法により1日10~12時間の間欠的な食道拡張を3~4日間行った後,バルーンを1日間抜去した.以上を1クールとし,5クールくり返し行った.本法により狭窄部は拡張され,3カ月経過しても再狭窄はみられなかった.本法は狭窄部の長い再発性の食道狭窄例に有用と思われた.
  • 木下 善二, 木下 久美子, 日野 啓輔, 西村 滋生, 沼 義則, 前谷 昇, 小田原 満, 清水 道彦, 飯田 洋三, 浜田 義之, 多 ...
    1984 年 26 巻 6 号 p. 884-888_1
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     今回,われわれは,生鮮魚介類を摂取したのち,短時間で急性胃症状をおこし,特異な形態学的変化を示した急性胃病変で,いわゆるvanishing tumorの像を示した症例を2例経験した.症例1は32歳の男性で,シメサバを食し16時間後に,症例2は33歳の男性で,フグの刺し身を食し,6時間後に,おのおの激しい心窩部痛をおこして受診した.症例1,2ともに,初回のX線検査の結果,胃穹隆部に巨大な半球形の粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた.引き続き行われた胃内視鏡検査では,症例1は平滑筋肉腫,症例2は平滑筋腫が疑われた. その後の経過観察中に,症例1は15日,症例2は27日の経過で,vanishing tumorの像を示して縮小消失した.病歴からも,胃アニキサス症との関連が強く示唆されたので,若干の考察を加えて報告した.
  • 小西 敏郎, 鈴木 衛, 鈴木 力, 井手 博子, 北村 正次, 粟根 康行, 神前 五郎, 山辺 恭司, 前田 栄昭
    1984 年 26 巻 6 号 p. 889-892
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     われわれは胃癌の十二指腸への浸潤の有無を球部内反転法を施行して検索しているが,最近,幽門輪近くの隆起型胃癌が十二指腸球部内へ脱出している2症例に,球部内反転法を施行して術前の診断が確実となった.2症例共に幽門前庭部の組織学的に深達度mのI型早期胃癌であった.球部内反転法は胃癌の十二指腸浸潤の有無の診断のみならず,十二指腸へ脱出した胃癌の内視鏡診断にも有用な検索法であると考える.
  • 高橋 希人, 佐藤 仁志, 柴田 好, 武藤 英二, 武田 章三, 熱田 友義, 山田 隆, 林 美栄, 原田 一道, 上田 則行
    1984 年 26 巻 6 号 p. 893-899_1
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     最近われわれは,摘脾20年後に巨大副脾を認めた門脈圧亢進症の1例を経験した.症例は42歳男,吐血を主訴として当院に緊急入院した.既往で,20年前に摘脾を受けている.入院後緊急内視鏡検査で食道胃静脈瘤を認めたが,出血は胃体上部の潰瘍からであった.また,入院時の検査所見から,肝硬変と診断された.肝硬変の精査,および肝癌の有無を確認するためCTスキャンを施行したところ,左季助部背側よりに直径6cmの腫瘤を思わす所見を認めた.そこで,99mTcフチン酸による肝脾シンチ,超音波,腹腔動脈造影などを行った結果,その異常腫瘤は巨大化した副脾と診断した.そして手術により組織学的にもそれを確認した.この副脾はこれまでの報告例中最大のものであった.なお,摘脾後残存副脾の診断には画像診断が有用であり,さらに摘脾術の際には術前または術中に副脾の検索が必要であるとの教訓を得た.
  • 清水 誠治, 多田 正大, 山本 実, 原田 稔, 岩越 一彦, 藤田 圭吾
    1984 年 26 巻 6 号 p. 900-904_1
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Inflammatory Fibroid Polyp(IFP)は胃には比較的高い頻度でみられるが,大腸に発生した例は極めて稀であり,過去に本邦では4例の報告がなされているにすぎない.私達は下腹部痛を主訴として来院した32歳男性の盲腸に発生した本症例を経験したので報告した. 臨床検査成績として赤沈亢進,白血球増多,CRP1+であったが,好酸球増多は認められなかった.X線,内視鏡検査により盲腸に太い茎を有する35×25×25mmの腫瘤を確認でき,その表面は顆粒状に凹凸不整であり,一部にビランもみられた.病理組織学的に腫瘤は層状,渦状の線維性増殖と豊富な毛細血管と好酸球を主体とするビ慢性炎症細胞浸潤よりなりIFPと確定診断を下した. そのX線,内視鏡検査所見は本症の病像として特徴的と考えられ,他疾患と術前に鑑別を行なう上で一つの指標になるものと思われる.
  • Ong-Ard Praisontarangkul, Kannika Phornphutkul
    1984 年 26 巻 6 号 p. 905-908_1
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    A patient with pulmonary tuberculosis and a right lower guadrant mass, demonstrated by barium enema to be narrowing of the proximal ascending colon and cecum, was found to have an ulcerohypertrophic lesion at the cending colon by colonoscopic examination. Multiple biopsies through the ulcerated area showed Langhans' giant cells and acid-fast bacilli with absence of granulomas. Colonoscopy is another method obtaining the definite diagnosis of colonic tuberculosis as well as distinguishing other neoplastic or inflammatory diseases involving this area.
  • 1984 年 26 巻 6 号 p. 911-941
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 26 巻 6 号 p. 942-964
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 26 巻 6 号 p. 965-994
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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