日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的に切除した上行結腸Ganglioneuromaの1例
白崎 信二細川 治山道 昇
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1985 年 27 巻 6 号 p. 1001-1007

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抄録
 Ganglioneuroma(神経節細胞腫)は主に腹部交感神経,副腎髄質,縦隔洞に発生する硬い充実性の良性腫瘍であり,消化管に発見されることはきわめてまれである.症例は35歳男性で,腹痛を主訴として来院した.上部消化管検査では異常が認められず,注腸透視を施行した所,回盲弁より約10cm肛側にポリープが認められた.大腸ファイバー検査により同部位にこん棒状のポリープが確認され,内視鏡的に切除した. 病理組織学的所見では粘膜下層に神経線維束,および結合織成分と血管の増生が認められ,粘膜固有層には神経線維束の増生と共に,はっきりした核小体を有する円形の大きな核とNissle小体をもった神経節細胞(Ganglion cell)が多数認められた.神経線維蛋白に比較的特異なS-100蛋白染色においても陽性を示し,このポリープはGanglioneuromaと診断された.消化管のGanglioneuromaの内視鏡的切除例としては第2例目であった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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