抄録
皮膚および消化管に多発する血管腫と慢性鉄欠乏性貧血を呈した典型的なBlue Rubber Bleb Nevus Syndrome(Bean症候群)の1例を報告する.症例は60歳,男性.現病歴は20歳頃より貧血を指摘され,30歳頃輸血歴あり.40歳頃より,そ径部・下肢の青紫色の腫瘤の出現に気づく.腫瘤はしだいに増加し擦過により出血することがあった.貧血の治療をうけていたが昭和57年,胃X線および内視鏡検査にて胃の青色調の隆起病変を指摘され当科受診.皮膚腫瘤は海綿状血管腫で,食道・胃・小腸・大腸全域に多数の青紫色隆起病変を認めたたBlue Rubber Bleb Nevus Syndromeと診断した.他臓器に血管腫の所見はなかった.貧血は慢性鉄欠乏性貧血を示した. 本症候群は本邦で約20例の報告があり,大量の消化管出血,臓器圧迫による障害や他疾患との合併が時としてみられるため,多発する皮膚血管腫患者では全消化管ならびに他臓器の血管腫の有無を検査する必要がある.