日本消化器内視鏡学会雑誌
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総胆管の特殊な形成異常と考えられた1例
李 茂基藤田 直孝望月 福治伊東 正一郎池田 卓豊原 時秋山崎 匡沢井 高志
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1985 年 27 巻 6 号 p. 988-995

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抄録
 症例は54歳の女性,主訴は心窩部痛.入院の3日前より主訴が出現し,近医にて加療後,精査目的で当科に入院となった.入院時直ちに施行した超音波検査および臨床検査成績により,急性胆嚢炎,急性膵炎と診断して内科的に治療したところ,臨床症状の著明な改善を認めた.原因の検索の目的でERCPを施行したところ,下部総胆管に嚢腫様の拡張を認め,その上下の胆管は狭窄を示した.また,胆嚢内に小結石を認め,胆石症および総胆管形成異常疑いの診断で,胆摘術および胆管部分切除術を施行した.組織学的には,付属腺,平滑筋組織,膠原線維組織の不規則な増生を認め,特異な形態と臨床像も合わせて,先天性の総胆管形成異常と診断した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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