日本消化器内視鏡学会雑誌
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全身的ホルモン療法が有効であった遺伝性出血性毛細血管拡張症(Rendu-Osler-Weber病)2例
中西 徹坂田 泰昭
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1986 年 28 巻 1 号 p. 132-136_1

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抄録
全身的ホルモン療用(estrogen-progesterone併用)が有用であった遺伝性出血性毛細血管拡張症(Rendu-Osler-Weber病)の2例を報告する.症例1は60歳女性で反復する鼻出血の既往あり,今回消化管出血を合併し入院した.表在性皮膚,粘膜所見がなかったが胃内視鏡検査で特徴的なtelangiectasiaを認め診断し得た.症例2は54歳男性で腰痛治療中に下血,鼻出血きたし胃内視鏡検査で胃のtelangiectasiaよりの出血を確認した.両例とも消化管出血は一般的治療で止血し得たが,鼻出血が持続するためホルモン療法を行ない,投与数週間で各々の例においての鼻出血の頻度は1/3,1/2と減少した.本療法の副作用としては症例1で一過性の乳房緊満感,症例2で疼痛性gynecomastiaがあったが軽度で中止する程でなかった. 以上から本療法は鼻出血と多分消化管出血を軽減するのに有効な方法と考えられた.
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