日本消化器内視鏡学会雑誌
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Eosinophilic Gastroenteritisの1例
樫村 雅典姫野 誠一黒川 正典篠村 恭久黒島 俊夫奥野 優金山 周次川本 博司辻 景俊東本 好文山崎 雄一郎垂井 清一郎
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1986 年 28 巻 10 号 p. 2362-2367_1

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抄録
 症例は23歳女性で,既往歴に気管支喘息,蕁麻疹がある.腹部膨満,嘔気,嘔吐,腹痛を訴え本院受診,対症療法にて経過観察中,症状悪化のため入院,入院時白血球数46,200,好酸球は71%と増加し,血清IgEは2,400U/mlと高値を示した.Radioallergosorbent-testでは豚肉,卵白が陽性,内視鏡にて,胃は噴門部から胃体部にかけて,十二指腸は上部から下行脚まで皺襞の肥厚と粘膜の浮腫,斑状発赤を認め,粘膜生検では多数の好酸球浸潤が見られた.経過中さらに,全身の浮腫,心襄液の貯溜等,症状の悪化を認めたが,プレドニゾロン30mg/日の投与を開始したところ,直ちに血中好酸球の消失,IgEの減少とともに症状軽快し退院した.本症例はUrelesの分類によるdiffuse eosinophilic gastroenteritisのpolyenteric typeに相当し,Kleinの分類によるpredominant mucosal disease,predominant subserosal diseaseの混合型と考えられるeosinophilic gastroenteritisと診断した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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