糖尿病
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症例報告
ネフローゼ治療経過中に劇症1型糖尿病を発症した1症例
峠之内 壽恵久保 敬二
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2017 年 60 巻 4 号 p. 309-313

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抄録

症例は43歳,女性.41歳時に微小変化型ネフローゼ症候群を発症し,当院でプレドニゾロン内服中であった.入院7日前より全身倦怠感,3日前より口渇,多尿が出現した.入院日に嘔吐が出現したため,当院を受診した.来院時,随時血糖値399 mg/dL,尿ケトン体陽性,静脈血ケトン体分画の上昇,動脈血ガス分析にて代謝性アシドーシスを認め糖尿病ケトアシドーシスと診断し入院した.入院後の検査にてHbA1c 6.9 %,尿中Cペプチド3.2 μg/日以下,空腹時血中Cペプチド0.08 ng/mLを認め,劇症1型糖尿病と診断した.1日28単位のインスリンで良好な血糖コントロールが得られた.劇症1型糖尿病と微小変化型ネフローゼ症候群の合併例は報告が稀であり,貴重な症例と考えられたため報告した.

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© 2017 一般社団法人 日本糖尿病学会
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