日本消化器内視鏡学会雑誌
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外科的治療が有効であったPBCの1例
船越 徳宗三浦 賢祐加納 正内野 治人三宅 健夫
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1986 年 28 巻 11 号 p. 2604-2609

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抄録
 原発性胆汁性肝硬変(Primary biliary cirrhosis,以下PBC)は進行性の自己免疫性肝疾患であり,欧米に比較して本邦ではその発生頻度は低いとされている. 症例は51歳女性であり,初診時に黄疸,肝脾腫,甲状線腫を認めた.血清検査の結果,慢性甲状腺炎を伴うPBCと診断された.短期間のステロイド治療により黄疸が消失したため経過観察していたが,1年後著明な食道静脈瘤の発生を認めた.そこで食道離断術と脾摘が行われた.肝組織標本の所見は診断と一致した.術後,食道静脈瘤は全く消失し,全身状態は2年以上にわたって良好である。本例では脾摘がPBCの予後に好影響を与えたものと考えられる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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