抄録
超音波内視鏡を用いた上部消化管病変診断の一環として,EUSの癌深達度診断能を検討した.EUS施行食道癌8例と胃癌78例を対象とし,このうち特に組織との対比が可能であった胃癌58例について解析,検討を行った.従来からの報告の通りEUSにより上部消化管壁は5層構造として観察される.この5層構造の変化を解析し,癌深達度診断を行った.この結果,粘膜内にとどまる癌(m癌)では病変の変化は第1層と第2層にとどまり,第3層の高エコー粘膜下層以下には変化は認められなかった.また,粘膜下層にとどまる癌(sm癌)では第3層のsm層に不整像を示したが中断像は認めなかった.一方,固有筋層の浸潤を示す癌(pm癌)では第3層のsm層の中断が観察されたが,第5層のss+s層に変化は認めなかった.さらに,漿膜下層以上の浸潤を認める場合には高エコーsm層の中断と第5層ss+s層の不整像または中断像が観察された.潰瘍変化を合併した場合にはsm層の中断形態から,癌性中断か潰瘍性中断かの鑑別も可能であった.また,スキルス胃癌では,sm層を中心とした胃壁全層の腫大と層構造の破壊を特徴とする断層像が観察された.このEUSの癌深達度診断を組織との対比が可能であった胃癌58例について,術前の早期癌と進行癌の鑑別を行ったところ,診断率は54/58(93.1%)で,さらに最近の41例をm癌,sm癌,pm癌,ss以上の癌に分けるとその診断率は33/41(80.5%)であった.以上,EUSによる癌深達度診断の可能性並びに有用性について検討し報告した.