抄録
経内視鏡的食道静脈瘤の硬化塞栓療法をethanolamine oleate(EAO)の静脈瘤内注入とpolidocanolの静脈瘤内,外注入により行った.EAOで15症例23回,polidocanolで9症例21回の療法を行い,各々の薬剤による効果,合併症を比較検討した.平均施行回数はEAOで1.5回,polidocanolで2.3回であり,ほとんどの症例でCW,F1,RC(-)以下に改善した.polidocanolの静脈瘤内注入では,ほとんど静脈瘤の改善の見られなかった症例が2例あり,効果の面ではEAOが優れていた.合併症はpolidocanol使用時に少なかった.EAOは静脈瘤内以外に多量に注入すると穿孔の恐れがあり,必ず透視下にて確認しなければならず,手技としてはpolidocanolより繁雑であった.