日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃内視鏡検査後にみられた急性胃病変の52例
松下 文雄渋江 正鮫島 由規則松元 淳高崎 能久橋本 修治
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1986 年 28 巻 4 号 p. 717-722_1

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抄録
 著者らは1982年より1985年2月までの3年間に延べ6,854例の胃内視鏡検査を施行し,その後3~10日の間に発症した急性胃粘膜病変(AGML)あるいは急性胃病変(AGL)を52例を経験した.検査は通常の方法で行っており,前処置として抗コリン剤注,咽頭麻酔,それに粘液除去剤として蛋白融解酵素剤を粉末にして服用させている.使用した器械はオリンパスGF-B3,GIF-P3である.検査時間は患者1人に平均5~6分間の観察で終了している.検査後のAG(M)Lの発症の原因として考えられたのは,アルコールが25例(48%),精神的あるいは肉体的ストレスが11例(21%)あったが,残りの14例については明らかな誘因は認められなかった.しかし,この14例のうち10例は初回時内視鏡検査でびらんや,表層性胃炎の所見を認めており,これらの病変を悪化させる内視鏡検査の何らかの影響も否定は出来なかった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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