抄録
1980年8月から,1985年8月までの5年間に,高瀬らの方法に準じた内視鏡的食道静脈瘤栓塞療法を170例(328回)に施行し,その合併症について検討した.輸血などの特別な処置を必要としたものをmajorcomplicationとすると6例(3.5%)に認め,このうち2例(1.2%)が死亡した.対症療法のみで軽快したものをminorcomplicationとすると,胸部痛40.2%,ヘモグロビン尿36.0%,食道潰瘍31.7%,発熱25.9%,呼吸困難0.5%であった.また硬化剤注入前後で動脈血ガス分析,血清電解質,血液生化学検査を行ったが,注入直後に肺循環障害によると考えられるPaO2値の低下を認めた.また,溶血によると考えられるLDH,間接ビリルビン値の一過性の上昇を認めた.しかし,PaCO2,Hb,CPK,K,Na値には変化を認めなかった.硬化剤を確実に静脈瘤内に注入し,緊急例を除き,術前に静脈瘤の血行動態を把握すれば,majorcomplicationの頻度を減少させることは可能であり,本法は比較的安全な治療法である.