日本消化器内視鏡学会雑誌
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抗ミトコンドリア抗体陽性非A非B型肝炎に対する腹腔鏡所見と内視鏡的逆行性胆管造影所見
矢崎 康幸関谷 千尋高橋 篤長谷部 千登美奥野 一嘉石川 裕司富永 吉春鈴木 貴久並木 正義
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1986 年 28 巻 8 号 p. 1802-1812_1

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抄録

 Antimitochondrial antibody (AMA)が,高titerで陽性であること,胆道系酵素の上昇,IgM高値などからprimary biliary cirrhosis (PBC)との鑑別が問題となった非A非B型肝炎の3例につき報告した.特にこれら3例のERCP所見,腹腔鏡所見をPBCとの比較を中心に検討したが,3例とも早期PBCを示唆する造影剤の胆管周囲漏出所見(periductal oozing)や,肝表面の1~3cm径の粗大な区域化(rough bigger block, RBB)は認められなかった.AMAは3例とも胆道系酵素が改善した後も高titerで持続的に陽性であり,AMA亜分画は1例がanti-M2のみ陽性で,他の2例はanti-M2とanti-M4が同時に陽性であった.これら3例の非A非B型肝炎はAMAが持続的に高titerで陽性であるものの,それ以外はPBCを示唆する所見は何もないことがわかったが,今後とも慎重に経過を観察してゆく必要があると思われた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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