日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃粘膜びらんの外科病理と内視鏡
安井 昭西田 佳昭熊谷 一秀新井田 修城所 仂唐沢 洋一平福 一郎
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1986 年 28 巻 8 号 p. 1823-1830_1

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抄録

 消化管の潰瘍における組織学的村上分類は,深いびらんをU1-I,浅いびらんをU1-Oとしているが,今回はU1-Oを中心に検討した.U1-Oは更にU1-O1,U1-O2,U1-O3,それにU1-O4とその治癒傾向によって細分し,U1-O1~2を急性期(活動期),U1-O3~4を治癒期(瘢痕期)と呼んでいる.このびらんは良性びらんのみではなく,早期胃癌IIc型やIIa+IIc(IIc+IIa)型などにも悪性びらんとして認められる.このような胃粘膜びらんは,癌性びらんを含めてU1-OやU1-Iがただ単に他の変化のない胃粘膜に発生するのではなく,もっともしばしば慢性胃炎性の変化のある胃粘膜に発見されることは重要な現象である.しかし内視鏡的にU1-OとUHとを肉眼的に鑑別することの困難さもさることながら,より小さい良性・悪性びらんの的確な肉眼的鑑別はより困難で,今のところ顕微鏡単位での方法より外にないが,顕微鏡診断に至るまでの内視鏡による診断の手がかりの確立が望まれる.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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