日本消化器内視鏡学会雑誌
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潰瘍性大腸炎の緩解像の検討
長谷川 かをり屋代 庫人飯塚 文瑛長廻 紘
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1986 年 28 巻 8 号 p. 1831-1841

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抄録

 全結腸型潰瘍性大腸炎55例86回の緩解像につき検討した.内科的緩解例では萎縮型が多く(71%)ポリポージス型は28%と少なかった.手術例の50%がポリポージス型であるのと対照的であった.従来少ないと考えられていた炎症性憩室が7例(13%)にみられた.部位別にみると,直腸ではポリポージスは稀でほとんど萎縮型であった.ポリポージス,炎症性憩室は左側結腸から口側では部位による差はみられずどの部位にもみられた.初回発作とそれ以後の発作の緩解像が異なる症例は少なかった.ポリポージスが2~3年で消失する例があった.活動期に深い潰瘍のあった例はすべてポリポージス型またはポリポージス+炎症性憩室となったが両者の違いは把握できなかった.炎症性憩室は緩解後すぐできるものと1年以上たって明瞭になるものがあった.時間がたつにつれ深くなり数が増した症例が1例あった.緩解が長く続けば浅くなり消失するが,深いものは残存した.その他の特殊な治癒像として狭窄2例,mesh様治癒像1例があった.

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