1986 年 28 巻 8 号 p. 1916-1919_1
67歳女性.下血を主訴として入院.患者は22歳の頃von Recklinghausen病と診断されており,ここ3年間毎年1回の下血の既往があるが,いずれの時も出血源不明のまま軽快した.今回,3カ月前より黒色便に気付き上部・下部消化管を検索したが,出血源は不明であった.そこで小腸病変を疑い,小腸X線及び内視鏡検査並びに血管造影を行い,小腸腫瘍と診断し手術を行った.肉眼所見では,Treitz靱帯より10cm肛門側に2×2.5×1.5cmの隆起性病変を認め,組織学的には粘膜下層から固有筋層に限局した平滑筋腫であった.