1986 年 28 巻 8 号 p. 1920-1925
患者は70歳女性.左側腹部痛を訴え,初回,大腸内視鏡検査で横行結腸に表面平滑な広基性ポリープを認めた.以後定期的に経過観察を行っていたが,3年後の大腸内視鏡検査時に隆起性病変は亜有茎性となったので内視鏡的ポリペクトミーを行った.摘出標本は,大きさは1.0×0.7×0.5cmで,病理組織学的には粘膜下に脂肪細胞のびまん性増殖像を認め,脂肪腫と診断された.大腸脂肪腫は近年報告例が増加したが,内視鏡的ポリペクトミー摘出例は本例を含め14例に過ぎない.われわれは,経過観察中に,腫瘤の形態学的変化をみ,内視鏡的ポリペクトミーを施行した1例を経験したので報告する.