1986 年 28 巻 8 号 p. 1926-1931_1
比較的若年者の虚血性大腸炎を経験し早期より観察出来たので報告する.症例は35歳男性,腹痛,下血で来院し,発症後8時間目に緊急大腸内視鏡検査が施行され,粘膜浮腫とびまん性出血が下行結腸にみられた.同時に行った大腸X線検査にては,同部に狭窄とthumb-printing像を認めた.内視鏡検査時の生検像にては腺管の脱落いわゆるghost-like appearance像がみられた.下血は4日目に消失,8病日に行った選択的下腸間膜動脈造影では異常所見を認めなかった.第15日の大腸内視鏡検査にては,下行結腸の伸展性は改善していたが縦走潰瘍瘢痕が認められた.若年発症であるため,眼底検査,糖負荷試験,膠原病などの検索を行ったが異常所見を認めなかった.