日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
発症早期より経過観察し得た比較的若年者の虚血性大腸炎の1例
鶴田 修池園 洋大久保 和典鴨井 三朗下津浦 康裕大曲 和博古賀 聖祥井上 林太郎江口 敏日高 令一郎村山 俊二佐々木 英豊永 純国崎 忠彦谷川 久一八木 一之
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 28 巻 8 号 p. 1926-1931_1

詳細
抄録

 比較的若年者の虚血性大腸炎を経験し早期より観察出来たので報告する.症例は35歳男性,腹痛,下血で来院し,発症後8時間目に緊急大腸内視鏡検査が施行され,粘膜浮腫とびまん性出血が下行結腸にみられた.同時に行った大腸X線検査にては,同部に狭窄とthumb-printing像を認めた.内視鏡検査時の生検像にては腺管の脱落いわゆるghost-like appearance像がみられた.下血は4日目に消失,8病日に行った選択的下腸間膜動脈造影では異常所見を認めなかった.第15日の大腸内視鏡検査にては,下行結腸の伸展性は改善していたが縦走潰瘍瘢痕が認められた.若年発症であるため,眼底検査,糖負荷試験,膠原病などの検索を行ったが異常所見を認めなかった.

著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top