抄録
ヘマトポルフィリン誘導体(HpD)を用いた光化学療法の向上のため,N2,Ar両色素レーザーを用い基礎的検討を行い,下記の結果を得た. 1.パルス発振レーザーか連続発振レーザーのどちらが光化学療法における組織深達効率がよいかを調べるため,パルス発振レーザーであるN2 dye laserと連続発振レーザーであるAr dye laserを,50mW10分間という同一条件でHpDを投与した犬の肝表面に照射し比較したところ,N2 dye laserのほうが約1割深達性において優れていた。 2.HpDを投与した犬の肝表面にN2,Ar両色素レーザーを種々の条件で照射し,その組織障害の深達性について比較した結果,組織障害の深達性は照射総エネルギーが増加するほど深くなるが,同一エネルギーでは,低出力で長時間照射する方が高出力で短時間照射するより深達効率がよかった。 3.光化学療法の臨床応用の際に問題となる癌周囲の非癌組織に及ぼす影響をみるため,正常犬胃粘膜およびNd-YAGlaserで作製した胃潰瘍に,HpD投与後N2dye laserを照射したところ,正常部ではU1-IIの潰瘍を形成するにとどまったが,潰瘍部へ照射すると潰瘍は明らかに増大した。したがって,潰瘍性変化を伴う癌へ照射する場合は潰瘍の深化,ときには穿孔の危険もありうることを認識しておく必要がある。