日本消化器内視鏡学会雑誌
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上大静脈血栓によりDownhill esophageal varicesをきたしたvasculo-Behget病の1例
武市 俊彰増田 和彦渡辺 滋夫小原 卓爾東 博之藤本 浩史小阪 昌明斎藤 史郎白神 〓
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1987 年 29 巻 2 号 p. 296-301_1

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抄録
 症例は57歳の女性.Vasculo-Behget病で上大静脈血栓症を発症後,11年目にdownhill esophageal varices (DEV)を認めた例である.39歳時口腔内アフタ,皮膚結節性紅斑,外陰部潰瘍が出現.46歳時頭痛,顔面浮腫が出現,静脈造影で上大静脈閉塞を認めた.今回は発熱,右季肋部痛の精査のため入院した.腹部エコー,CTで胆嚢,肝内胆管に結石を認めた.Alkaline-phosphataseは軽度上昇,ICG停滞率,血小板数,γ-globulinなどは正常,RI-angiography,腹部CTで下大静脈の閉塞も疑われた.食道透視・内視鏡検査にて食道上部2/3に限局するDEVを認めた.文献上,上大静脈血栓によるDEVは本例を含め9例の報告があり,原因の明らかな4例はすべてvasculo-Behcet病であることが注目される.また3例に下大静脈血栓も見られ,血栓の多発,進展により静脈瘤が拡大する可能性が考えられた.したがって上大静脈血栓によるDEVには慎重な抗凝固療法が必要と考えられる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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