1987 年 29 巻 2 号 p. 333-338_1
内視鏡的乳頭括約筋切開術(以下EST)を胆道癌4例の確定診断に応用した.4例中,3例は下部総胆管癌,1例は乳頭膨大部癌であった.これらの症例の主症状は,黄疸,上腹部痛,右季肋部痛,発熱などであった.内視鏡的には1例において乳頭の腫大を認めたが,その他の症例では主乳頭周囲粘膜に異常は認められなかった,造影上は総胆管の拡張とその下部胆管において,陰影欠損,不整狭窄が認められた.診断はEST直後に施行した組織生検により確定したが,胆道癌の手術前の確定診断を行う上でのESTの有用性について述べ,更にその問題点についても検討を加え報告した.