抄録
食道静脈瘤硬化療法後に出現した食道のMucosal bridgeの2例を報告した.Mucosal bridgeは時々潰瘍性大腸炎やクローン病に認められる.しかし,硬化療法後の食道Mucosal bridgeの報告は本邦にはない. 症例1は,55歳女性で主訴は吐血.内視鏡検査にて出血性食道静脈瘤を認めた.食道静脈瘤硬化療法が計6回施行された.最後の硬化療法後より,胸骨後部痛と心窩部不快感を訴えた.内視鏡検査にて局注部位に一致し深い潰瘍を認めた.3カ月後の内視鏡検査にて食道のMucosal bridgeと潰瘍瘢痕を下部食道に認めた. 症例2は,38歳の男性で主訴は易疲労感と腹部膨満感であった.内視鏡検査にて,著明な食道静脈瘤を認めた.予防的硬化療法を計12回にわたって行なった.硬化療法後1カ月後,静脈瘤は消失し, Mucosal bridge,多発潰瘍瘢痕とPseudo-polypsを認めた.