日本消化器内視鏡学会雑誌
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腹腔鏡にて観察しえた先天性肝内胆管拡張症と考えられる1例
川野 正樹伊藤 泰昭大類 方巳大江 毅前原 操菅谷 仁原田 尚
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1987 年 29 巻 9 号 p. 2056-2060_1

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抄録
症例は65歳の女性.口渇,全身倦怠感を主訴に当科を受診し,腹部超音波検査にて胆石および胆嚢癌が疑われ精査目的に入院した.腹腔鏡検査において,胆嚢には病変を認めず,胆嚢床部の肝横隔面に白色の表面不整の小隆起性病変を認め,同部の鉗子生検にても悪性腫瘍を否定できず開腹術を施行した.術中胆道造影では白色調の隆起に一致して肝内胆管の拡張を認め,楔状生検による組織学的検査でも大小様々の胆管が単独で周囲の線維化を伴って増生している所見のみで悪性所見は認められず,先天性肝内胆管拡張症が疑われた.本隆起性病変は,白色調不整形で癌臍を認めず,またpeliosisも伴わず,通常の腫瘍性隆起とは異なっていた.本邦では先天性肝内胆管拡張症の腹腔鏡所見を記載している報告は少なく,きわめて興味のある症例と思われる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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