日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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ラット肝癌発生過程の腹腔鏡的観察と画像処理による解析
香川 恵造疋田 宇福井 進多々 尚竹内 孝幸新谷 弘幸出口 武司児玉 正岡上 武瀧野 辰郎芦原 司伊東 英明
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1988 年 30 巻 1 号 p. 63-68_1

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抄録
実験的肝癌発生過程を腹腔鏡的に観察することは,肝発癌のsequentialな解析に有用である.本研究では,電子内視鏡を用いて発癌過程における肝表面像の変化を詳細に観察するとともに,ICG(7.5mg/kg)静注前・後の色調変動についても検討を加えた.また,画像処理装置(TOSPIX-II)を用いてRGB色空間,HSI色立体に基づく画像解析を行った. 0.005%diethylnitrosamine投与後,肝表面の血管増生が徐々に著しくなり,12週以降より表面平滑で白色調を呈する過形成性結節(HN)が出現し,15週以降には肝癌(CA)の発生が観察された.ICG投与による腹腔鏡では,HN及びCAの両病巣はともにICGの取り込みを示さなかった.しかし,HSI変調による画像解析において,HNは非病変部とCAとの中間の色調変動を示しており,HNがなお若干のICG取り込み能を有していることが明らかとなった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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