抄録
内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)は現在広く行われているが,それを機能的に評価した報告は比較的少ない.そこでTc-99m-E-HIDAを使用した胆道シンチグラフィーを用いてEST15例と経十二指腸的乳頭括約筋形成術8例を,胆管から十二指腸への胆汁排出という術後の機能面から比較検討した.総胆管末端部および十二指腸に関心領域(ROI)を設定した場合,両ROIでのtime-activitycurveのパターンは,両術式ともに健常者のような明らかなピークを示さず,非常に類似していたことから,ESTにおいても十分な切開が行われれば,経十二指腸的乳頭括約筋形成術と変わらない総胆管末端部括約筋機能の廃絶効果が得られると考えられた.また,EST後の効果の判定に胆道シンチグラフィーが有用と考えられた.