日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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経皮経肝胆嚢造影にて結石排出の経過を観察しえた胆嚢十二指腸瘻の1例
前谷 容山瀬 博史光島 徹中元 一也横内 敬二阿部 陽介永谷 京平坂谷 新三品 佳也村上 雅彦田辺 大明
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1988 年 30 巻 7 号 p. 1530-1537

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抄録
胆石を伴う急性胆嚢炎例に経皮経肝胆嚢造影(PTCC)およびドレナージ(PTCCD)を施行したところ,胆嚢頸部に嵌頓した結石が胆嚢十二指腸瘻を形成し,十二指腸に排泄される経過を観察したので若干の文献的考察を加え報告した.症例は82歳女性で,右季肋部痛,発熱を主訴に来院した.来院時,腫大した胆嚢を触知し,炎症反応の著明増強を認めた.腹部超音波検査にて胆嚢腫大,胆嚢壁肥厚と頸部に結石の嵌頓を認め,PTCCDを施行すると膿性胆汁が採取され,その後炎症所見,腹痛は改善をみた.この時胆嚢頸部に嵌頓した結石のため,胆嚢管,総胆管は造影されなかった.7日後に造影すると,胆嚢は萎縮し,結石陰影は消失し胆嚢十二指腸瘻の形成壷認めた. 20日後にPTCCにて瘻孔の閉鎖を確認したため,外科的手術せず,9カ月の現在症状もなく健在である.一般に瘻孔の形成は胆嚢内圧の上昇に由来すると考えられているが,本症例ではドレナージを施行して胆嚢内圧減圧後に瘻孔が形成されており,胆嚢萎縮に伴う機械的排石が誘因となったことが示唆された.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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