日本消化器内視鏡学会雑誌
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IIa~IIa+IIC型早期大腸癌の臨床病理学的研究
岡村 正造浅井 俊夫山口 初宏越知 敬善大橋 信治三竹 正弘加藤 忠浜島 英司山本 義樹
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1989 年 31 巻 1 号 p. 58-64_1

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抄録
 径5mm以上のIIa~IIa+IIc型早期大腸癌の16例を佐野分類に準じてポリープ型(P型),びらん型(E型),深部浸潤型(D型)の3型に分類して臨床病理学的検討を試みた.結果:(1)P型が11例,E型が1例,D型が4例で,P型の7例が深達度mで他の9例はsmだった.(2)P型の9例は腺腫部分を伴っていたが,他の7例は腺腫部分を伴わなかった.(3)P型,E型に共通な内視鏡所見の特徴は毛細血管透見像の消失で,色調は3例がほぼ正常で,8例は正常粘膜より軽度発赤していた.(4)D型の内視鏡所見の特徴は起始部粘膜が正常で,頂部は褪色するか白苔を有した.また,長径が1cmと小さな深達度smのD型病変が2例あり,D型病変はP型より生物学的悪性度が高いと推測された. 以上より,IIa~IIa+IIc型早期大腸癌をP型,E型,D型の3型に分類することは診断学的にも,また,大腸癌の発生と発育を探求する上からも有意義と考えた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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