抄録
大腸では稀とされる陥凹型早期癌を経験したので報告する.症例は64歳の男性で大腸ファイバースコープにより,S状結腸に肉眼的にはIIa+IIc型の早期癌が認められた.内視鏡的ポリペクトミーの適応ではないため,S状結腸切除を施行した.病理組織学的所見では病変全体が11×6mm,中心陥凹が8×5mmのsm癌で,癌の浸潤範囲は大部分は陥凹面にあり,一部が隆起の部分に及んでいた.隆起の大部分は粘膜下層に浸潤した癌組織により健常粘膜が押しあげられたものであった.組織学的にはIIc+IIa型早期癌である.本病変は,隣接した健常組織とは境界が明瞭で,腺腫の介在は認められず,小さなsm癌であるので,denovo cancerであると思われる.陥凹型早期大腸癌の発見頻度は低いが,発赤あるいは陥凹が陥凹型早期癌の内視鏡的特徴である点をふまえて内視鏡検査を行えば,本病変の発見頻度はもっと増加すると思われる.