抄録
77歳女性で,腹痛のため来院.血液生化学検査で,白血球とアミラーゼ著明高値のため精査.低緊張性十二指腸造影,内視鏡像にて,十二指腸second portion,Vater乳頭部領域に腫大した小結節分葉状隆起を認め,逆行性膵胆管造影にて主膵管の著明な拡張と,開口部付近起始部に陰影欠損像を認めた.術前生検は乳頭状腺腫像であったが,部分的な腫瘤形成型乳頭部癌の膵管への浸潤を疑ったため膵頭十二指腸切除術が施行された.切除標本の組織学的検索で,腫瘍の多くは癌腫で,癌腫の一部は膵管内への増殖を認めた.乳頭部に腺腫と癌腫の共存があり,腺腫の癌化を示唆する所見と考えられ,乳頭部腺腫は良悪性の境界領域病変としての意義づけが重要と考えられた.