抄録
腹腔鏡にて発見され,開腹肝生検で組織学的に診断しえたアルコール性肝硬変に伴う肝黄色腫の1例を報告した.症例は46歳男性.日本酒1日3合16年間の飲酒歴がある.全身倦怠感及び食思不振にて当科入院.黄疸,肝腫大を認め,生化学検査上GOT優位のトランスアミナーゼの上昇,γ-GTPの上昇ありアルコール性肝硬変と診断.腹腔鏡では結節肝であり,左葉表面に境界明瞭な直径3mm~5mmの黄白色の小結節を散在性に数個認めた.開腹肝生検による同部の組織所見で泡沫細胞の集簇を認めたことより黄色腫と診断した.本症例の黄色腫の成因としてはアルコール性肝障害による肝細胞の変性,壊死,胆汁うっ滞及び局所脂質代謝異常,あるいは偽小葉内の循環障害により肝内に脂肪滴が出現し,それを貪食した組織球が泡沫細胞となり,それらが集簇することにより黄色腫が形成されたと考えられた.