日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
若年成人男性にみられた虚血性大腸炎の2例
伊藤 重範尾関 規重田中 明隆高田 善介矢崎 裕宮治 眞武内 俊彦
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 31 巻 4 号 p. 973-978_1

詳細
抄録
便秘とストレスが発症に関与したと考えられ,若年成人男性の虚血性大腸炎2例について報告した.症例1は33歳,男性で従来からの便秘に加えて,自宅に籠もりきりでの期限付きの機械設計の仕事が重なった時,発症した.下血直後の内視鏡検査で下行結腸から脾彎曲部にかけ約30cmの範囲に著明な粘膜浮腫とびまん性出血を,注腸造影検査では同部に腸管の伸展不良,壁不整,thumb-printing像を認めた.症例2は23歳の習慣性便秘の男性で,車のセールスで売上げ件数が伸びないというストレスが加わった時,血便と下腹部痛が出現した.内視鏡検査でS状結腸に約5cmにわたる全周性の発赤とびらんを認め,注腸造影で同部の伸展不良が明瞭であった.2例とも対処療法のみで数日後に狭窄を残さずに治癒した.基礎疾患を持たない若年成人男性例は,本邦で自験例を含め5例と稀である.本例は詳細な問診により,便秘とストレスが発症に関与したと推察し得た.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top