日本消化器内視鏡学会雑誌
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B型慢性肝炎に合併したICG排泄異常症の1例
―ICG大量静注後の腹腔鏡像の検討―
佐伯 日出貴岡田 功秋田 博彰朝倉 一郎荻原 泰水吉 秀男羽鳥 知樹佐川 寛遠山 正博杉本 元信保坂 洋夫安部井 徹佐々木 憲一
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1989 年 31 巻 4 号 p. 966-970_1

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抄録
 症例は32歳男性,HBウイルスキャリア(e抗体陽性).全身倦怠感を主訴に入院.生化学的検査ではGPTの軽度上昇と膠質反応の上昇を認め,ICG排泄試験では15分値が初回86%,2回目90%,3回目73%と異常停滞,血漿消失率,血漿一肝移行率の著明な低下を認め,一方,BSP試験では軽度停滞を認めるのみであった.腹腔鏡検査では,肉眼的に斑紋結節肝を呈し,ICG3mg/kg静注後の肝表面は着色が悪く,静注前とほとんど変化がなかった.生検肝組織の光顕像では慢性非活動性肝炎で,電顕像ではDisse腔内のcollagen fiberの増加,肝細胞膜のfuzzy liningの平坦化,Disse腔の基底膜化が確認された.ICG排泄異常症の肝表面像についての報告は少なく,本例のICG静注後の肝表面着色状態とその生検肝組織電顕像は,本症の病態を考慮する上に重要な所見と考えられたので報告した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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